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97.05.01 第6号

「オフ輪印刷」についてのご紹介
当社のオフ輪印刷用紙の紹介を含めて、近年のオフ輪印刷の動きをふり返ってみましょう。

オフ輪印刷の概要と現状
オフ輪、すなわちオフセット輪転印刷(Web Offset Press)は巻取紙を使用するオフセット印刷方式のことを言います。
この方式は1965年頃から、新聞、雑誌、書籍などの高速多量印刷を必要とする分野で本格的に始まりました。オフ輪印刷機はB-B型、共通圧胴(サテライト)型に分類されますが、最近の商業・出版用オフ輪印刷ではB-B型機の稼働が主で、サテライト型機を見ることはまずありません。これはB-B型のほうが操作しやすく、経済性、品質の安定性の点でも優れているためと考えられます。
B-B型とはBlanket-to-Blanketタイプの略称で、上下1組のブランケット胴が互いに圧胴の働きをするような構造で、巻取用紙はその間を通過して両面同時に印刷・乾燥されるタイプの輪転機を指します。ちなみにサテライト型は、その周辺に印刷ユニットを衛星のように配置したセンタードラムを共通の圧胴として2基設置され、表→裏と片面ずつ印刷・乾燥するタイプの輪転機のことです。
B-B型印刷ユニット
(B−B型オフ輪印刷機)
また枚葉オフセットインキは、印刷されるとまず紙層に浸透、セットし、次に酸化重合によって徐々に乾燥されるのに対して、商業・出版用オフ輪では熱乾燥によりセット、乾燥されるヒートセット型のインキを使用します。従って、オフ輪印刷における乾燥温度はとても重要な印刷条件であり、紙面温度100〜120℃付近で印刷されます。
 
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(1)オフ輪印刷機台数の伸び
大手3社(大日本印刷、凸版印刷、共同印刷)以外の中小印刷会社で稼働している商業・出版用オフ輪印刷機は年々増加しており、大手3社で稼働していると推定される約240台を加えると1995年で1,530台前後にものぼり、10年前の約2倍も増えています。
 
1981年
1985年
1990年
1995年
中小印刷会社の
オフ輪機台数
471台
677台
1,136台
1,287台

(2)判サイズ別の伸び
商業印刷のうち、消費者が商品をより安く購入するための情報源“チラシ”の占める役割は相変わらず堅調です。チラシ用の印刷機は主にB系列が使われ、特にB2判機は1995年で印刷機全体の約62%にも及んでいます。A系列はダイレクトメールや通信販売、さらにカタログ・パンフレット用として次第に増えていきました。
判サイズ
1981年
1985年
1990年
1995年
A0(A倍判用)
A1(Aヨコ全判が主)
B1(Bタテ全判が主)
B2(Bタテ半裁が主)
B3(Bタテ四裁が主)
その他
2.1%
7.2%
4.2%
59.7%
25.9%
0.9%
1.8%
6.9%
5.8%
60.8%
23.2%
1.5%
2.3%
10.7%
5.1%
62.3%
17.3%
2.3%
2.6%
11.6%
4.9%
62.2%
15.2%
3.5%
 
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(3)色版別の伸び
出版印刷、商業印刷でもビジュアル化、カラー化の傾向がますます強くなり、4×4色印刷機が全体の70%を占めるようになりました。また、5×5色以上(5×5色、6×6色)の伸びも目立ってきました。初めの4色で通常印刷、5色以降は特色印刷・ニス引きなどのインライン加工をすることにより、オフ輪印刷でも高生産・高品質の印刷物が可能になったわけです。
色版数
1981年
1985年
1990年
1995年
5×5色以上
4×4色
1×1色
その他
-
59.2%
5.3%
35.5%
-
62.4%
7.2%
30.4%
3.4%
67.7%
5.0%
23.9%
4.0%
70.0%
5.2%
20.8%
[1]- 印刷物の納期を短縮できる
オフ輪印刷は枚葉印刷と比べて3〜5倍の高速で運転され、さらに折り加工などの二次加工設備のインライン化が一般的となり、生産性の面でもアドバンテージが極めて高くなっています。
[2]- ほとんどの用紙に使用できる
用紙のグレードはアート紙から下級紙まで、米坪は30g/m2の超軽量紙から210g/m2、あるいはそれ以上の厚物まで対応が可能です。
[3]- 印刷機の急速な自動化
オフ輪機にとどまらず、印刷機全般の自動化には目を見張るものがあります。自動版替え装置、自動版面ゴミ取り装置、印刷物監視装置などスキルレス化が急速に進んで、女性のオペレータも見受けられるようになりました。近年では印刷工場におけるFA(Factory Automation)化は、もはや当たり前のこととなっています。
[4]- 印刷物の品質レベルの向上
従来、枚葉印刷に比べて劣っていたとされるオフ輪特有の品質問題も、用紙、インキ、印刷機の乾燥装置、加湿装置などの進歩によってかなり改良され、そのレベルがアップしたことは見逃せません。
 
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オフ輪印刷のこれから
印刷会社も他の産業と同様に年々、競争が激化しています。そこで生き残りをかけた企業努力として、プリプレス部門(印刷前の製版システム)の充実をはじめ、技術・技能の平準化、印刷・製本の一貫体制、印刷物の即応体制など、生産性向上のためにさまざまな新技術の開発に努めてきました。
その一つに、ハイデルベルグハリス社が次世代の革新的な技術開発を目指して日曜日にプロジェクトを発足させたことから「サンデープレス」と呼ばれるギャップレスオフ輪機の登場があります。ブランケット胴のギャップをなくすために筒式のブランケットを採用したギャップレス化により、次のようなメリットが考えられます。

(1)生産性の向上(用紙の節約、高速化、メンテナンス時間の短縮など)
オフ輪機のブランケット胴にはブランケット巻付け用のギャップが不可欠ですが、ブランケットを筒状にすることで印刷ユニット部のギャップを10mm→2mm(版胴のギャップ)に縮小でき、用紙を1〜2%節約できます。また、このギャップ部での振動のため印刷速度が制約され、振動の増幅による筋目の発生などのトラブルが懸念されましたが、ギャップレス化によって印刷速度は大幅にアップします。さらに1時間以上かかっていた従来のシート状ブランケットの交換作業も、ギャップレス印刷ユニットの場合は筒状ブランケットを横方向に機械的に抜くだけなので10分以内で完了し、メンテナンス時間が大幅に短縮できます。

(2)印刷物の品質の向上
品質面においても、従来はブランケット胴を倍胴にすることで振動を軽減していましたが、ギャップレス化により単胴が可能になったことで印刷物のA・B品質差(倍胴では胴周方向に同一絵柄が二つ印刷されるが、両者の品質に微妙な差が生じる)が解消されます。
(ギャップレス印刷ユニットと従来印刷ユニットの構造比較)※三菱重工業資料より
1997年の時点で、ハイデルベルグハリス社のギャップレスオフ輪機は欧米を中心に30台以上が稼働。また国内でも大手の三菱重工業、小森コーポレーション、東芝機械などのオフ輪機メーカーがそれぞれ独自にギャップレスオフ輪機の開発に取り組んで、すでに稼働しているものもあります。さらに、ドイツのマンローランド社により版胴もギャップレス化した新型オフ輪機「スリーブオフセット」が開発されています。
また、これらのオフ輪機に対抗するものとして、枚葉印刷機では「両面8色機」、グラビア輪転機では日本で初の4A判(2,450mm巾)の出現が注目されました。
 
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オフ輪印刷用紙の品質について
オフ輪印刷の場合、オフセット印刷用紙として求められる一般品質に加えて、輪転機に要求される特別の品質として、高速巻取印刷作業適性および高速加熱印刷適性があります。

(1)高速巻取印刷としての作業適性
高速巻取印刷の場合、巻取の異常は用紙の片だるみ、アオリ、蛇行、シワ、見当ズレ、さらに断紙のトラブルが原因となります。このため抄紙、塗工、仕上の各工程での紙の流れ・幅方向の坪量、紙厚、水分をできるだけ均一にコントロールし、生産しています。ワインダー工程では鏡面の紙粉、凸凹、紙管ズレ、胴面の均一性、タルミ、シワなどに留意して、適切なテンションで巻取に仕上げます。
巻取の均一性および硬さ管理のための測定器の一つに、シュミットハンマーがあります。シュミットハンマーによる測定例は下図の通りです。
鏡面・胴面
シュミットハンマー測定例
オフ輪用紙は通常、ブリスター対策として枚葉紙に比べて水分を低く抑えているため、開包後、放置すると吸湿シワやタルミが発生する場合があります。準備段階では開包を鏡面に止め、印刷直前に胴面の包装を取るのがベターです。
 
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(2)高速加熱印刷としての印刷適性
オフ輪印刷特有の印刷品質として、ブリスター、ひじわ、折れ割れがあります。
[1]- “ブリスター”とは?
オフ輪機の乾燥部で、インキの乾燥とともに用紙中の水分が急激に加熱され、蒸発する際、塗工層とインキ層に妨げられ、逃げ場を失い、図のように火膨れとなる現象のことを“ブリスター”と言います。これは両面にインキ量の多い、濃い絵柄が重なった印刷の場合に発生しやすくなります。
用紙では薄物のほうがブリスターを発生しにくく、厚物でも層間強度が強く、透気性の高い用紙は比較的、発生しにくい傾向にあります。従って、原紙層ではパルプ配合、叩解、灰分などの調整により、層間強度を強くし、透気性を高め、塗工層では顔料、接着剤の組成、配合を調整して透気性を高くするように品質設計します。一般的には、用紙の水分は低いほうがブリスターを発生しにくいので水分を4〜6%に調整し、銘柄・米坪にもよりますがオフ輪機の紙面温度100〜120℃レベルには充分耐えられるように品質設計しています。
(ブリスター現象) (用紙特性とブリスター)
ブリスター現象 用紙特性とブリスター
[2]- “ひじわ”とは?
オフ輪印刷機で両面に高濃度の絵柄を印刷した場合、用紙の流れ方向に沿って発生するシワを“ひじわ”と呼び、オフ輪印刷物の品質を損なう一つの要因となっています。
ひじわの発生メカニズムは次のように考えられます。まず印刷乾燥時、白紙部に対して高濃度の絵柄部は水分の蒸発が妨げられ、両者の間の残存水分に差が生じて、その結果、収縮差が現れます。さらに印刷機のテンションが加わって、絵柄部に用紙流れの方向に沿ったシワとなります。これを“低温ひじわ”と呼び、紙本来の不均一性(地合、繊維配向など)からくる一見、目立ちにくい縮緬状のシワを“高温ひじわ”として区別しています。
図に、ひじわ発生のモデルおよび印刷乾燥時の白紙・絵柄部の収縮率の差の例を示します。
(ひじわ発生のモデル) (紙面温度と収縮率)
ひじわは印刷物の絵柄配置を工夫するなどの方法で軽減されますが、まだ完全に解決されるには至っておらず、印刷会社や印刷機メーカー、インキメーカーおよび製紙メーカーが協力して取り組むべき課題となっています。
[3]- “折り割れ・折りちぎれ”とは?
“折り割れ”は、折り目割れ、背割れとも呼ばれ、中綴じの両頁にまたがる絵柄に亀裂が入るだけでなく、ステッチ抜けにつながることもあります。これはオフ輪印刷だけの問題ではありませんが、折り加工時の水分が枚葉印刷に比べて低いため、パルプが柔軟性を失い、折り割れが出やすくなり、特に冬の乾燥期に問題になることが多々あります。図は、折り割れの発生状態およびステッチ強度とドライヤー後の用紙水分の関係を示したものです。
(折り曲げ時の亀裂の発生 ※塗工面外側の場合の印刷物)
折り曲げ時の亀裂の発生
(用紙水分とステッチ強度)
折り割れは、同米坪の塗工紙と非塗工紙を比べると、塗工紙のほうが原紙層(パルプ繊維)の少ない分、相対的に弱い傾向にあります。用紙では、水分を上げたり、原紙中のN材(針葉樹)パルプを増やすなどの対策がありますが、他の品質とのバランスを考慮しながら品質設計する必要があります。
また上述のような種々の対策をはかったとしても、印刷乾燥後の水分が低すぎると、塗工層やパルプに柔軟性がなくなり、折り割れやすくなるので、印刷乾燥後の水分をできるだけ高くすることが望ましいようです。そのため、ドライヤー温度を下げたり、加湿を行うことが効果的ですが、静電加湿装置などの有効な設備も開発されています。他にも、折り加工時の折り強さの調整も効果があります。
以上のように、各々の品質問題によって相互に相反する対応が出てくる場合がありますので、印刷会社や製紙メーカーなどの関係者が協力し、ユーザーに対しても納得の得られる解決をしていくことが必要です。
 
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(参考文献)
(1)「オフ輪印刷」(監修=松本和雄/日本印刷新聞社)
(2)「日本のオフ輪 1995〜6 調査年報」(日本印刷新聞社)
(3)「日本のオフ輪 1995〜6 調査年報」(日本印刷新聞社)
 
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目次

  1. オフ輪印刷の概要と現状


  2. オフ輪印刷のこれから


  3. オフ輪印刷用紙の品質について


  4. 参考文献


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