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このイラストは、実際の映画などをモチーフに、イラストレーションの作者が内容から感じとった世界を紙面に定着させたものだ。原画はイラストボードに樹脂絵具で描かれており、筆ムラなど手の味を感じさせるポップでほのぼのとしたイラストだ。
今回はこのイラスト4点を使用しポスターを試作、オフセット印刷によりその作品世界の定着を試みる。「パンチの効いた色と微妙な筆のタッチの印刷再現性」と、「ほのぼのとした明るさ、ぬくもりの質感表現」の両立がポイントとなる。印刷用紙には高い印刷光沢と風合いを併せ持つ微塗工ファンシーペーパー「OKミューズガリバーHG」を選択した。
校正印刷に向けて製版方法、特色使用の検討を行うために、まずは、通常の4色分解で印刷し、その限界を確認する。 4色印刷では予想通り、オレンジとグリーンがにごり、沈んでしまってイラストのパンチはまったく出ていない。また、背景部分の微妙な筆ムラがオレンジのほうはほとんど再現されておらず、平板な印象になってしまっている。さらに、印刷時にオレンジの発色にこだわったためか、他の部分に赤がかぶってしまい、全体のバランスを崩してしまっている。

- 4色印刷
今回の原稿で問題となるのは、上段のオレンジとグリーンのイラスト2点である。 やはりCMYKによる4色分解印刷ではオレンジとグリーンの再現には限界があり、特色を使用しなければならない。
オレンジについては発色を考慮し、蛍光インキを混ぜることにした。最近では6色分解印刷なども聞くようになったが、今回は特練りインキ2色を使用した6色でトライする。背景の筆ムラについて、オレンジの方は、特色版と墨版、グリーンの方は、特色版、アカ版、キ版で調子を表現する。 その他、各イラストに対してオリジナルに忠実な再現を求めて、色、画像等の修正指示を入れる。

- 校正チェック
校正機で刷るため、通常の本機印刷とは刷り順が異なる。4色の平台校正機でCMYKを刷り、1色機で特オレンジと特グリーンを入れていく。
4点のイラストのうち下段2点は4色で印刷されるが、上段の2点は特色が刷られるまで全体のバランスを確認することはできず、特色の仕上がりが重要となる。それだけに特練りインキの色出しには神経を使う。特練りインキの調肉はまさに職人技だ。
特グリーンを刷る箇所にはすでにマゼンタとイエローで筆ムラの調子が刷り込まれており、これらに重ねて原画の色を再現するための計算をしながら調肉をしていくのだ。色味や筆ムラの調子、全体のバランスを見ながら何度も刷り直しを行い、イラストの持つ世界観に近づけていく。
今回の用紙「OKミューズガリバーHG」の白色度はかなり高く、オレンジもグリーンもとても良い発色を見せている。また、指先で紙に触れるととても豊かな風合いを感じる。この風合いは印刷するとその高い印刷光沢性により視覚でも良くわかる。印刷面の光沢は色を沈ませること無く発色させるとともに、そのぬくもりのある風合いを際立たせている。
最適な印刷設計と用紙の選択により、発色と風合いの両立が可能となりイラストの持つポップでほのぼのとした世界観が紙面に再現できるのである。

- 特練りインキの色出し

- 4色校正機 刷版

- 色校正見当確認


